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HYDROGEN EMBRITTLEMENT TEST

水素脆化のメカニズムは?
金属・エンジンの水素脆化試験とは

世界的な地球温暖化への対応として、脱炭素化などカーボンニュートラルを目指す動きが加速しており、各国が2050年等の年限を区切ったカーボンニュートラルの実現を表明しております。水素エネルギーの利点として、環境負荷が軽いことが挙げられます。化石燃料は燃やすと二酸化炭素が発生しますが、水素は燃焼しても二酸化炭素が排出されません。また、水素はエネルギー変換に優れており、電気としても利用できるため、水素エネルギーとしての価値は高いと言えます。

(株)神戸工業試験場においても、水素環境中の各種材料試験の技術開発を積極的に進めてきました。当社におけるこれまでの試験実績と今後のさらなる技術開発の展望を、水素脆化のメカニズムのご説明と併せてご紹介致します。

水素脆化のメカニズムと課題

構造用材料を水素環境中で使用するニーズは高まる一方ですが、解決すべき課題が残されております。

課題1

■従来の設計でそのまま使えるのか?
■根本的な改良が必要なのか?

強度設計上の懸念点)
金属材料の水素脆化
金属材料中に水素原子が侵入・拡散し、各種強度特性を低下させること。

水素脆化のメカニズムの図

■遅れ破壊
■引張特性の破断伸びや絞りの低下
■疲労寿命の低下、疲労限度の低下
■疲労き裂進展速度の加速
■破壊靭性の低下

使用を想定している金属材料の水素適合性を評価するためには、水素環境中における材料試験は必要不可欠

課題2

■水素ガスは可燃性のため取り扱いには知識が必要であり、科学的な安全対策を徹底する必要がある
■水素ガス環境中の材料試験には大掛かりな防爆設備が必要なため、多額のコストがかかる
■水素ガス環境中の材料試験を受託するサービスは高額になってしまい、水素エネルギー社会の発展に障害となっている

解決策:水素ガス密封型中空試験片を用いた各種強度試験

メリット1:水素ガスを材料の表面にさらした状態での強度試験を実現
メリット2:水素ガス量は極少量。試験片の外に水素ガスが拡散しても安全性を確保
メリット3:KMTLのコア試験技術と融合→多様な試験ニーズに適正価格で対応

>>当社における水素材料試験ラインアップ

>>EBSDによる破断した中空試験片の分析

Scope▶破断した中空試験片の断面観察より、水素に曝されていた内表面からのき裂発生を確認▶き裂の経路上で、オーステナイトからマルテンサイトへの相変態を確▶オーステナイト安定度が比較的低いSUS304では、水素ガスの影響により延性が低下

連続雷解チャ一ジ式SSRT試験法

電解水素チャージは、金属材料に水素を添加する方法の一つです。水溶液中で試験片を分極し、試験片の表面から水素が材料内部へ侵入・拡散します。この方法は、特に腐食環境中における鋼材の水素脆化や遅れ破壊の研究に用いられてきました。水素脆化は、鋼材中に取り込まれた水素の濃度が高くなるにつれて、材料の脆化傾向が増大します。電解水素チャージを使用することで、実際の環境下での水素の影響を模擬し、鋼材の耐水素性能を評価することができます。(株)神戸工業試験場では、水素チャージ後に大気中での引張試験を実施してきましたが、試験中に水素が脱離してしまうという課題がございました。本資料では、水素チャージをしながら引張試験が実施できる手法を構築し、この課題を解決した事例について紹介します。

連続電解チャージ式SSRT試験法の実験セットアップ

■試験片に対して、電気化学反応を利用した水素チャージをしながら、SSRT試験が可能になりました。
■腐食環境で生じる遅れ破壊などの水素脆化評価試験に最適です。電解液、電流値、試験速度など多岐にわたるパラメータの条件設定が可能です。
■破断後の試験片を液体窒素中に浸漬して、試験片に吸蔵した水素を脱離させずに保管し、水素濃度の分析を実施します。
■オーダーメイドの実験機器の設計・製作から承ります。

連続電解チャージ式SSRT試験法の実験セットアップの補足画像
応力-ストローク線図

応力-ストローク線図

水素昇温脱離分析(TDA)図

水素昇温脱離分析(TDA)図

この実験の考察ポイント▶電流密度の高い条件において、水素による顕著な延性低下が生じている▶予備チャージ時間を長くすると、より顕著な水素脆化が発現▶破断した試験片から拡散性の水素を検出▶延性の低下度と水素濃度には相関がある▶試験部における水素の濃度分布を定量評価するには水素拡散係数が必要である

水素脆化と水素エンジンについて|SSRT試験、疲労寿命試験および疲労き裂進展試験

超高圧水素ガスの圧力容器や配管は、主に水素エネルギー関連の製品やインフラに使用されています。具体的には、水素燃料電池車(FCV)の燃料タンク、水素ステーションの充填設備、また大規模な水素輸送や保管のための施設などに採用されています。これらの容器や配管は、水素の高圧化によるエネルギー密度の向上を実現し、効率的な輸送や保管を可能にするためのものです。超高圧での取り扱いには特別な技術や材料が求められ、安全性を確保するための厳格な基準や規格が存在し、超高圧水素ガス環境中における各種材料試験が必要です。(株)神戸工業試験場では、特殊構造の小型圧力容器を汎用の油圧サーボ型疲労試験機に搭載することにより、超高圧水素ガス中のSSRT試験、疲労寿命試験および疲労き裂進展試験が実施可能となりましたので、本稿ではその技術紹介をさせて頂きます。

自社開発の高圧水素ミニチュア試験装置

SSRT試験や疲労試験用の縦型チャンバー

SSRT試験や疲労試験用の縦型チャンバー

疲労き裂進展試験や破壊靭性試験用の横型チャンバー

疲労き裂進展試験や破壊靭性試験用の横型チャンバー

当社は、防爆仕様の専用試験室に関して、兵庫県に『高圧ガス製造事業所』として届け出を出しております。ガス検知器、強制排気ファン、防爆仕様の蛍光灯、定期自主検査の実施など、法令で推奨される安全対策を万全にしたうえで、当該試験を実施しております。

試験手順

試験手順の写真

超高圧水素ガス環境下における試験実績

SSRT試験

SSRT試験

疲労き裂進展試験

疲労き裂進展試験

疲労試験

疲労試験

当社の各種標準試験片

SSRT試験片

SSRT試験片

疲労き裂進展|CT試験片

疲労き裂進展|CT試験片

疲労寿命試験片

疲労寿命試験片

破壊靭性|CT試験片

破壊靭性|CT試験片

KMTLミニチュア試験法の基盤技術

実製品や実部材から試験片を採取し、同様の環境を模擬したうえで、各種材料試験を実施したいというニーズは、あらゆる産業分野において共通するものです。しかしながら、実機から採取できる部材の寸法には制約があることがほとんどであり、必ずしも、一般的な試験規格で推奨されるサイズの試験片を採取できるとは限りません。当社では、ミニチュア試験片を実機より採取し、試験片加工および各種試験を実施する技術の確立に注力してきました。本稿で紹介する高圧水素ガス中の材料試験は、このミニチュア試験法を高圧水素ガス環境に応用した当社オリジナルな試験手法です。二次元コードから当社ミニチュア試験法についてのサービスをご覧いただけます。

KMTLミニチュア試験法の基盤技術を説明する写真

鋼中の水素拡散係数の測定および解析

金属中の水素原子は、他の溶質原子(例えば、炭素など)に比べて、著しく速く拡散することが知られております。多くの研究者が、材料中の水素拡散が水素脆化の主因であることを指摘しています。(株)神戸工業試験場では、水素拡散係数を実験的に取得する方法について検討致しました。また、実験的に取得した水素拡散係数を用いて、時間とともに変化する水素の濃度分布をFEMで解析した事例について紹介致します。

放出法による水素拡散係数の測定手順

放出法による水素拡散係数の測定手順を説明する写真
フィッティング解析の結果

フィッティング解析の結果

FEM解析による拡散シミュレーション

FEM解析による拡散シミュレーション

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