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SPECIAL INTERVIEW
代表取締役副社長
鶴井 宣仁NOBUHITO TSURUI
“ずっと”進化し続ける神戸工業試験場のヒミツ、
経営者である鶴井さんに“もっと”聞いてみた!
“ずっと”進化し続ける神戸工業試験場のヒミツ、
経営者である鶴井さんに”もっと”聞いてみた!
まずは神戸工業試験場(以下KMTL)のスローガンである「ずっと試験と。もっと未来と。」について聞かせてください。このスローガンにはどんな意味が込められているんですか?
初めて聞いた方は「シンプルだな」という印象を持たれるかもしれませんね。込められた意味ですが、「ずっと試験と。」には、これまでのKMTLを築いてきた先人達への敬意、後半の「もっと未来と。」には、これからのものづくりに貢献していきたいという決意、そんな想いが込められています。シンプルな中にも、私たちの想いがぎっしりと詰まっているんですよ。
過去と未来、どちらも大切にしたいというKMTLの想いが込められたスローガンなのですね!
仰る通りです。このスローガンを目にするたびに、今後数十年、当社を通じて社会に貢献していくこと、そしてこの身を捧げようという決意が呼び起こされ力が湧いてくる思いになります。
このスローガンを掲げてKMTLはどのようなことを目指しているのですか?
最近はグローバル化の流れや新型コロナウイルスによる影響などにより、世の中が大きく変化しています。そんな中、私たちも今ある状況に留まるのではなく、これからもずっと良い方向に変わり続ける企業でありたいと考えています。これまでの日本最大級の独立系試験場として培ってきた技術を活かして、挑戦する企業を支援する“ものづくりのパートナー”になることを目指していきたい、そんな風に考えています。
創業者から数えて3代目ですよね。創業70年と聞き、歴史のある企業なのだと驚きました。
そうですね。私の祖父である故鶴井達男が、1947年に試験片1*加工を中心とした鉄工所を設立したのが始まりです。戦後生き残った祖父が、「運があるならば」と思い、会社を立ち上げたそうです。祖父は不思議な魅力を持つ人でした。その魅力で自然と周囲の人を集め、会社が少しずつ大きくなっていったそうです。創業者に向いていたのでしょうね。1* 試験片…部品などの強度や性質を測定するために、同じ材料で作った試験用の小片。
創業者であるお祖父様の代から“ずっと”試験に向き合ってきた会社なのですね!
祖父が先見の明がある人だったことも、KMTLがずっと試験に携わってこられてた理由の一つです。今でこそ民間の独立系試験場への期待は高まっていますが、祖父は半世紀以上も前からそれを見越していたのです。創業当時、祖父が名付けた“神戸工業試験場”という名前に対して、「公設試験研究機関のようだから名前を変えろ」と役場から通達があったそうです。しかし、「これからの世の中、民間企業が試験場として役割を果たす時代が来る」という祖父の強い想いで再三にわたり役場を説得し、ようやく名称が認められたそうです。
社名にもそんなエピソードがあったのですね!
企業理念の一つに従業員尊重とありますが、具体的にはどのような取り組みをしているのか教えてください。
働きやすい環境を作るための経営陣の仕事は、社内外の課題や問題をいち早くキャッチすること、そしてそれを解決するために何ができるかを考えることだと思っていますので、私は労働組合との対話を大切にしています。実際に、労働組合から指摘を受けて気付かされた場面も多いんですよ。最近では、組合の意見を元に、福利厚生が充実していると有名な大企業と同等レベルまで、育児休業規定を改定しました。その他にも、経営陣の若返りを行なって、意見の言いやすい雰囲気作りを目指したり、休日制度の充実化なども行なっています。
制度がとても充実していますね!
働く環境を改善することにゴールはない、と考えていますので、まだまだ積極的に、従業員の働きやすい環境を実現できるように、取り組み続けていきたいですね。
従業員の働く環境についても、大切に考えていらっしゃることが分かりました。実際に働いている従業員は、どういった人が多いのですか?
お客様の悩みを解決することに喜びを感じる、仕事熱心な人が多い気がします。私たちのお客様は、一筋縄ではいかない悩みを抱えることが多い大企業や国立研究所ばかりです。だからこそ、解決できた時の喜びはより大きく、そこに喜びを感じてくれているのだと思います。
今感じている、KMTLが現在抱える課題はどんなものですか?
会社が少しずつ成長してきて、現在従業員数400名程の規模となってきました。この規模になってから、経営側でなかなか全てに目が行き届かなくなっていてしまっている、それが課題です。実際に、大企業病と呼ばれる組織の硬直化であったり、セクショナリズム2*なども発生しつつあるように感じています。 2* セクショナリズム…組織全体ではなく自部門のみの利益、効率、権利を優先してしまうこと。
何か解決策はあるのでしょうか。
現在は、他部門同士で意図的に一緒に仕事をする機会を増やすように心がけています。始めたばかりの頃は「他部門と仕事するなんて!」との声も多くありました(苦笑)。しかし、他部門でも同じ会社の一員、という説明を繰り返すうちに、徐々に受け入れてくれるようになりました。最近では、経理部門が加工部門の業務改善を手助けするなど、当初想定していなかった活動にも結びついてきて、嬉しい限りです。
ところで、KMTLには試験片の供養塔があると聞いて驚きました!本当にあるんですか?
もちろん、本当です(笑)。これは、試験片に感謝と恩返しを込めて私たちが建てた塔です。私たちは、丁寧に作られた試験片を短いものであれば数秒で壊してしまいます…。しかし、この作業によって得られたデータが、私たちの安心で安全な社会を支えているのです。今では、この供養塔が、私たちKMTLの精神やコンセプトを表すシンボルにもなっているんですよ。
最後に、KMTLの別な一面も少しだけ教えてください!
コロナ禍で現在はすっかりご無沙汰なのですが、私たちの会社には、“有志の会”という、みんなで集まって飲み会を開く、というイベントがあります。社員たちで自発的に開催されるイベントで、多い時には100人近くが集まって、ホテルのビアガーデンを貸し切って開催したこともあるんですよ!その会では経営陣でも無礼講、というのが暗黙の了解でして…私も何度かお酒で潰されたことがあります(笑)。
普段の皆さんとは違う一面を見れそうで、とても楽しそうですね!
共に真剣に仕事と向き合っている仲間達との息抜きは、本当にいいものですね!私は、バイクのツーリングが趣味なのですが、共通の趣味を持つ社員たちがいることを、この会を通して初めて知りました(笑)。後日、みんなで実際にツーリングにも行ったんですよ!面白いのが、工業試験場に勤務しているだけあって、バイクを自分で整備している人がいたり、こだわりの強い人が多いなぁ~と(笑)。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、有志の会は現在休止となっていますが、またの開催を、密かに心待ちにしています(笑)。
皆さん、いかがだったでしょうか?鶴井さん、今回は貴重なお話ありがとうございました!!
代表取締役副社長
鶴井 宣仁NOBUHITO TSURUI
1984年生まれ。灘中・灘高を経て、東京大学へ進学、2010年3月に東大大学院工学系研究科を修了。その後、民間系シンクタンクに勤務を経て、2014年神戸工業試験場へ転職。その後、広島大学大学院の社会人博士課程へ進学、2018年3 月に水素エネルギーをテーマに博士(学術)を取得。2021年5月中小企業診断士取得。