TEST SERVICE
試験サービス
CREEP TEST
クリープ試験(英語:Creep test)とは、電気炉中で加熱された試験片に負荷を与えることによってクリープ変形を生じさせ,試験片が破断するまで、温度、ひずみと試験時間を連続計測する試験です。アウトプットとして、破断時間とクリープ曲線などが提供されます。 例えば、発電所の蒸気管や石油精製プラントの反応炉など、常に高い温度と内部圧力にさらされる機器の設計や保守には、クリープ試験の結果が欠かせません。金属材料だけでなく、樹脂材も対象に試験を行いますが、樹脂材では湿度も試験結果に影響を及ぼします。
材料に静的な力が作用し続けると、変形(ひずみ)が徐々に進んでいき、ついには破壊に至る現象が起こります。このことをクリープ現象と呼んでいます。金属材料では融点(絶対温度)の半分以上の温度下で起こると言われていますが、樹脂材料などでは室温以下の温度でも起こることが知られています
最も一般的な試験方法は単軸引張クリープ試験ですが、これ以外に圧縮クリープ試験、捩りクリープ試験、二軸や三軸の引張クリープ試験、ミニチュア試験方法である単軸ミニチュアクリープ試験、スモールパンチクリープ試験などがあります。また、クリープき裂の進展速度を知るクリープき裂伝播試験もあります。
「クリープ破断試験(クリープラプチャー試験)とは、試験条件温度と応力における破断時間を求める試験で、ストレスラプチャ試験とも呼ばれています」 「破断時間はクリープ強度とも呼ばれ、特に高温下で使用される機器のクリープ余寿命を調べるために用いられます。一例をあげると、温度と応力を変えた複数の条件で試験を行い、縦軸に試験応力を、横軸に破断時間と試験温度から算出した温度・時間パラメータ(よく用いられるのがLarson-Miller-Parameter)をとってプロットしたクリープ破断線図を作成し、機器が実際に受ける応力値と線図との交点からパラメータ値を求め、これに実機温度を代入することでクリープ余寿命を求めることができます」
クリープ試験の中でも最もポピュラーな試験方法が、一方向に引張負荷を与える「単軸引張」試験で、当社が受託している試験の9割以上がこの負荷方式です。伸びの検出方法は、試験片平行部両端に加工された鍔部に伸び計を取り付けて計測します。実際に各種プラントで使用されている機器は、一方向だけの力が作用している訳ではなく、色々な方向からの力を受けています(多軸)。そこで、多軸応力の作用の影響を調べるために、二軸や三軸の特殊な引張クリープ試験も行われています。
材料を圧縮してもクリープは生じます。引張と圧縮は力の向きが真逆ですが、試験機の多くは引張負荷しかかけられません。しかし、当社では試験機を新たに作ることはせず、篭型の治具を用いることで圧縮の負荷が掛けられる機構を構築し圧縮クリープ試験も対応可能となっています。近年では、金属に限らず樹脂材料の恒温槽環境での試験も多くなってきています。
近年では、金属の代替材料としてプラスチックに代表される樹脂材料が多く使用されています。金属材料同様、クリープ現象が発生するため、非常に長い期間使用される物においては、クリープ特性を把握することが重要です。樹脂材料のクリープ特性は、金属材料のように、ある温度条件下で塑性変形等の非可逆的変形によって示されるものとは本質的に異なり、弾性固体と粘性流体の両方の特性を合わせ持った、「粘弾性」と呼ばれる特性を持っています。また、クリープ現象は耐クリープ性が高いほど起こりにくくなります。 クリープ寿命予測を行うためには、長期間に渡る試験が必要となりますが、比較的短期間で測定した負荷応力と破断時間の関係を用いて、長期間の予測外挿等の計算を行うことにより、さらに長期的な寿命を推定することができます。ただし、樹脂材料のクリープ試験はバラツキが生じやすく、試験環境の温湿度にも敏感であることが多く、クリープ寿命予測の精度を上げるためには測定のN数を増やすことや、なるべく長期間のデータを取得することが必要となります。
実は、高層ビルディングなどを形造っているコンクリートも常温でクリープを起こします。我々が気づかぬうちに、ゆっくりと変形が進んでいます。構造物自体の重みで、コンクリート中の細かな気泡や水分量が時間とともに変化するために生じます。もちろん、建築物の設計時には、コンクリートのクリープ変形も織り込み済みですが、試験でクリープ特性を把握しておくことが必須です。日本産業規格のJIS A1157に、コンクリートの圧縮クリープ試験方法として規格化されています。金属や樹脂材の圧縮クリープ試験と同じく、時間とひずみを計測しますが、試験期間は1年以上と規定されており、やはり時間のかかる試験です。
単軸引張クリープ試験機は、電気炉中にセットした試験片を、ロッドを介して引張負荷を与える機構となっています。負荷機構は、てこ式になっており、当社が保有する一般的なタイプですと、レバー比は1:10で、3tまで負荷が掛けられる試験機を多く保有していますが、最大5tまで対応可能です。また、試験温度は室温から1200℃までが一般的です。また、当社はクリープ試験機の設計・製作も行っており、単軸引張クリープ試験機を始め、ミニチュアクリープ試験機やスモールパンチクリープ試験機、その他特殊なクリープ試験機にも対応しています。試験機の価格など、詳細についてはお問い合わせください。
クリープ試験も,様々な規格によって試験方法が規定されています。
●金属材料:JIS Z 2271(金属材料のクリープおよびクリープ破断試験方法)、ASTM E 139、ASTM E 292
●樹脂材料:JIS K 7115(引張クリープ試験法),JIS K 7116(3点曲げクリープ試験法)
●コンクリート:JIS A 1157(コンクリートの圧縮クリープ試験方法)
当社では様々な材料や、様々な種類のクリープ試験を受託しています。クリープ試験は、後述のように大変時間のかかる試験ですので、たくさんのお客様からのリクエストにお応えするためには、多くの試験機を準備しておく必要があります。当社は、標準的な単軸引張クリープ試験機を日本の受託試験会社の中で最多の428台保有しております。 また、当社はミニチュア試験にも注力しています。稼働中の発電プラントのクリープ余寿命を推定するため、配管の一部からサンプリングされた小片から微小試験片を加工して、クリープ特性を評価する手法が大きく注目されています。と言うのも、従来の標準サイズ試験片での評価では、プラント配管から大きな供試体を切り出す必要があるため、サンプリング後の補修も含めると、長期間のプラントの停止、配管へのダメージが避けられないからです。そこで、当社ではサンプリングを行う放電サンプリング装置から、単軸引張ミニチュアクリープ試験機やスモールパンチクリープ試験機も自社開発し、ミニチュア技術による余寿命評価の受託も行っています。最近では、さらに小さな小片で対応可能な超ミニチュアクリープ試験機も開発し、すでに多くのお客様から試験のご依頼を頂いています。
疲労試験とは,材料から採取した試験片に繰返しそれぞれの方法(圧縮や引張り、熱、超音波など)で負荷を加え,また負荷の大きさを変えた試験を複数本実施し、それぞれの破断繰返し数を調べることで,その対象物の“破壊”が引き起こる限界がどの地点なのか(疲労限度)を調べてそれを記録する試験です。負荷する荷重が変動する試験で、動的試験とも呼ばれています。これに対してクリープ試験は一定の荷重が付加される試験で、静的試験と呼ばれています。また、負荷変動と保持を組み合わせたクリープ疲労と呼ばれる試験もあります。 クリープ試験は基本的に時間のかかる試験で、短い試験条件でも数時間、長い条件ですと50,000時間(当社受託実績)もの間、連続運転します。ちなみに、クリープ試験の世界最長記録は、我が国のNIMS(物質材料研究機構)が達成した14,868日(約41年,356,832hr)という、途方もない時間です。(ギネス登録)
縦軸にひずみを、横軸に時間をとった図をクリープ曲線と言います。一般的に、クリープ曲線は、試験開始直後のひずみ速度が大きい領域(Ⅰ期、遷移クリープ域)、ひずみ速度が一定で推移する領域(Ⅱ期、定常クリープ域)と、ひずみ速度が一気に上昇して破断に至る領域(Ⅲ期、加速クリープ域)の3つの領域に分けることができます。なお、Ⅱ期に見られる直線の傾きを定常クリープ速度(最小クリープ速度と同義で用いられることが多い)といいます。
同じ材料を同じ温度で試験応力を変えてクリープ試験し、最小クリープ速度と試験応力を両対数でプロットすると、両者の間には直線関係が成立します。この関係をノートン則と呼んでおり、FEMによるクリープ解析を行う上で必要な定数となります。
また、同じ材料をクリープ試験した場合、試験温度が高いほど、または試験応力が大きいほど、短い時間で破断します。これらのクリープカーブを比較すると、破断時間が短いほど定常クリープ域の傾き(クリープ速度)が大きいことが分かります。定常(最小)クリープ速度と破断時間を両対数でプロットすると、両者の間には直線関係が成立し、この関係をMonkman-Grant則と呼んでいます。
Our CREEP TEST
発電用ボイラー・蒸気タービン・ガスタービン用材料などは、高温環境下で使用されるため、その材料の高温特性を把握して設計・保全に資する必要があります。当社では、多数のクリープ試験機・クリープラプチャー試験機を始め、特殊なリラクセーション試験機、クリープ疲労試験機、多軸クリープ試験機、ミニチュアクリープラプチャー試験機などを用意して、室温変動±3℃以内の試験室において設計・保全の基本となるデータ提供を行っています。
クリープラプチャー試験機
クリープ曲線
ミニチュアクリープラプチャー試験機
ミニチュアクリープ試験片
容量(シングル型) | 50kN, 30kN, 15kN, 3kN |
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試験温度 | RT〜1100℃ |
容量 | 25kN |
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試験温度 | 300℃〜900℃ |
容量 | 20kN |
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試験温度 | 300℃〜1100℃ |
容量 | 1.5kN |
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試験温度 | 200℃〜700℃ |
JIS Z 2271 |
ISO 204 |
ASTM E139 |
ASTM E292 |
FAQ
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社会の安全・安心を支える、疲労試験やクリープ試験をはじめとする多様な材料試験をご紹介します。