Model: TIAS-2543T [キヤノンアネルバ(株)]
IA-Lab (L-250G-IA)の飛行時間型質量計(TOFMS)型として試作したプロトタイプ機であり,質量分解能は4000程度です.他社製品分析などにおいて,整数質量情報のみでは候補物質が非常に多いような場合にも,精密質量分析を行うことで,化学組成の推定が容易になります.イオン付着イオン化法による計測を精密質量で定常的に稼働できる装置としては,ほぼ唯一の装置でしたが(製品化には至りませんでした),今般のDIP-IAユニット実現によって後継機に引き継がれる予定です.
試料導入(ダイレクトインレットプローブ):
最大加熱温度: 500 ℃
昇温速度: 1~200 ℃/min
真空度: 100 Pa程度
イオン化法:
イオン付着イオン化(IA)法 (Liエミッタ)
質量分析計(飛行時間型質量分析計):
mass範囲: m/z 1~4000
※現状装置仕様で,一般に検出される成分はm/z 1500程度まで.
キャリアガス:
N2 or Dry Air
Model: ThermoMass Photo [㈱リガク]
ソフトなイオン化法として光イオン化法を備え,また,TG-DTAとMSの接続にスキマーインターフェースを用いていることに装置の特徴があります.前者は,樹脂等の熱分解反応において,熱分解発生ガスの分子イオン検出を容易にします.また,後者のスキマーインターフェースは熱分解発生ガスをありのままにダイレクト検出するための手法として採用されたものです.
従来,一般的なTG-MSシステムでは,接続にキャピラリインターフェースを用いてきました.この場合,数mのキャピラリーを反応活性の高い熱分解ガスが流れるため質量分析計に導入する過程で熱分解物の再重合などの変性の影響を受けやすく,場合によってはキャピラリーの目詰まりが発生していました。本システムのスキマーインターフェースではこの点が改善され,熱分解ガスによる反応影響が顕著な系でもガス成分をリアルタイムに,変性(目詰まり)などの影響少なく計測できます.ただし,現状ではいくつかの課題点もあり,それぞれのシステムよって一長一短があります.
TG-DTA:
加熱炉: 抵抗炉
最大加熱温度: 1000 ℃
昇温速度: 1~20 ℃/min
ガス導入法(スキマーインターフェース):
構造: 石英二重管構造(下図参照)
※キャピラリインターフェースでは熱分解ガスの副反応により目詰まりするような反応系でも
導入過程での発生ガス成分の変性の影響少なく熱分解ガスの状態をダイレクトに計測できます.
イオン化法:
光イオン化(PI)
電子イオン化(EI)法
質量分析計(四重極型質量分析計):
mass範囲: m/z 1~410
測定モード: SCANモード, SIMモード
キャリアガス:
He or 模擬大気(He/O2)
本装置の特徴は,一つに分子量情報中心のデータを得ることが出来る点であり,特に芳香族化合物は高感度に検出することができます.
もう一つは,熱分解反応において,熱分解重合物や微粒子の多いためにキャピラリインターフェースでは目詰まりして計測できないような系での測定に適します.現状の装置仕様では,無機ガスや比較的に低分子量(おおよそm/z 200程度まで)の発生ガス成分をリアルタイム計測するようなニーズに適します.
分析例:
・セラミック,冶金等での脱バインダープロセス研究
・ランダム/ブロックコポリマーの判別(ポリスチレン系,アクリル樹脂系など)
・樹脂・複合樹脂の耐熱性/熱分解挙動評価・樹脂同定・組成評価
など
Model: TIAS-O254 [日本電子(株)]
IA-Lab(L-250G-IA)の後継機として,有機化合物のスクリーニング検査用のコンセプトモデル機として試作した装置です.市販機であるJEOL製JMS-Q1500GCをベースにした特注モデルであり, IA-Labの仕様を踏襲しつつ,全体的な性能向上を図りました.本装置の開発経験がDIP-IAユニット開発に繋がりました.
試料導入(ダイレクトインレットプローブ):
最大加熱温度: 500 ℃
昇温速度: 1, 2, 4, 6, 16, 32, 64, 128 ℃/min
真空度: 100 Pa程度
イオン化法:
イオン付着イオン化(IA)法 (Liエミッタ,Naエミッタ)
光イオン化(PI)法
電子イオン化(EI)法
質量分析計(四重極型質量分析計):
mass範囲: m/z 1~1050
測定モード: SCANモード, SIMモード
キャリアガス:
N2 or Dry Air
Model: IA-Lab (L-250G-IA) [キヤノンアネルバ(株)]
イオン付着イオン化(IA)法を備えた質量分析装置であり,試料導入部は減圧下で近赤外ランプによる急速加熱により熱抽出・気化するダイレクトプローブ(DIP)が標準仕様となっています.
本装置ではGC等に発生ガス成分の分離操作を行わずに様々な発生ガス成分(主として有機化合物)を擬分子イオンとして検出できます.現在,本装置を用いた迅速分析法は,RoHS規制やグリーン調達関連などでの臭素化難燃剤やフタル酸エステル類の含有チェックのため,一部の企業に導入されている他,RoHS規制の改訂に合わせて同規制の臭素化難燃剤の分析法(informative)として採用されています[IEC 62321-6:2015, IEC 52321-8:2017].
試料導入(ダイレクトインレットプローブ):
最大加熱温度: 500 ℃
昇温速度: 1, 2, 4, 6, 16, 32, 64, 128 ℃/min
真空度: 100 Pa程度
イオン化法:
イオン付着イオン化(IA)法 (Liエミッタ,Naエミッタ)
電子イオン化(EI)法
質量分析計(四重極型質量分析計):
mass範囲: m/z 1~1000
測定モード: SCANモード, SIMモード
キャリアガス:
N2 or Dry Air
その他:
キャピラリインターフェースを備えており,GCオーブンを接続することでGC/IA-MSとして
使用することも可能です.